「青梅市」は不動産投資に適した地域か?
今回は東京都「青梅市」の不動産投資を分析していきたいと思います。
調査内容は、
青梅市の地域情報(空き家・治安・子育て)、将来人口推移、不動産価格の動向(地価・平均家賃)、賃貸需要、交通情報(路線・高速)などとなります。
青梅市を投資先として選定する上で参考になる情報が御座いましたらご活用下さい。
では青梅市の地域情報から見ていきましょう。
青梅市の概要、特性
ではまずはじめに、不動産投資におけるもっとも大きなリスクのひとつである空室リスクに関連する空き家率から見ていきましょう。
空き家率の推移
青梅市の平成25年の空き家率は13.2%で、東京都の平均:11.1%よりも高い数値となりました。(平成25住宅土地統計調査より)
また平成10年からの空き家率の推移は下記の通りです。※平成25年までの5年毎
平成10年:7.5%(3720戸)
平成15年:7.9%(4130戸)
平成20年:10.5%(6160戸)
平成25年:13.2%(7610戸)
青梅市の空き家率は年々上昇傾向にあり、都の平均値よりも高い数値で推移しています。
また青梅市による空き家対策は維持管理や相談対応が中心となっていますが、空き家バンク導入や住宅確保要配慮者への入居斡旋など空き家の利活用の検討に入っているようです。
上昇を続ける青梅市の空き家率ですが、青梅市の積極的な空き家対策に期待しましょう。
刑法犯認知件数の推移
不動産投資を行なう上で投資先の治安の良し悪しは、賃貸需要にも影響を与えることが考えられます。
では青梅市は安心して暮らせる街であるかどうかの基準となる犯罪件数(刑法犯認知件数)を見ていきましょう。
過去の犯罪件数は下記になります。
平成20年:1454件
平成23年:1257件
平成24年:1179件
平成25年:1329件
平成26年:1069件
平成27年:1023件
青梅市の刑法犯認知件は年々減少を続けています。平成20年と平成27年を比較すると30%以上減少していることがわかります。
なお青梅市では防犯パトロールの実施、防犯設備設置や防犯活動への補助金交付などの防犯対策に取り組んでいるため、今後さらに治安の良い街になることが期待できるでしょう。
待機児童数の推移
ファミリー層を視野に入れた不動産投資を行う場合、子どもがいる世帯がメインターゲットになります。また子育て世帯で仕事との共立を希望する世帯も増加しているため、待機児童対策は注目すべき項目でしょう。
では子育て世帯が住みやすい街であるかのひとつの指針になる待機児童について見ていきましょう。
過去の待機児童数は下記になります。
平成21年度:38人
平成22年度:39人
平成24年度:24人
平成25年度:19人
平成27年度:20人
平成28年度:25人
青梅市の待機児童数は、低い水準で横ばいで推移しています。
また青梅市では待機児童ゼロを目指して、保育施設や定員の増強などに取り組んでいます。
そのため仕事を持つ子育て世帯は、青梅市の今後の動向に期待してみてはいかがでしょうか?
次に青梅市の不動産価格の動向について考察していきましょう。
青梅市の不動産価格
不動産投資の出口戦略にも関わってくる不動産の価格動向について見ていきましょう。
まず青梅市の地価は、東京都内48位、全国161位となっています。
最高坪単価は1988年の115.2万円でしたが、2016年は31%程度の35.5万円で推移しています。
現在までの地価動向
では最近の地価の変動を見てみましょう。
バブル崩壊後しばらく続いた地価の下降も、2007年(3.55%)、2008年(5.28%)の2年間は上昇となりました。
しかし2009年(-5.82%)、2010年(-6.23%)、2011年(-0.36%)、2012年(-1.76%)、2013年(-0.96%)の5年間は再び下げに転じました。
またここ最近の動向を見ると、2014年(0.36%)、2015年(1.30%)、2016年(0.32%)の3年間は緩やかながら上昇が続いています。
しかし地域別の動向を見ると、上昇したエリアは河辺エリア(0.30%)のみで、その他9エリアは下降となりました。
また河辺駅周辺の地価は高く、最安値の地域と比較すると5倍以上と大きな差が見て取れます。
賃料相場
では青梅市の家賃相場はどうなっているでしょうか?部屋のサイズ別に見ていきましょう。
ホームズ家賃相場情報によると、下記ととなります。
1R~1DK:47位
1LDK~2DK:49位
2LDK~3DK:49位
3LDK~4DK:47位
地価の48位と比較すると、すべての間取りでほぼ同ランクに位置しています。
そのため青梅市は、地価と賃料のバランスが取れた地域と言えるでしょう。
青梅市の交通・アクセス
では青梅市の電車状況はどうなっているでしょうか?
青梅市内には12の駅あり、JR(青梅線)と私鉄(御岳登山鉄道御岳山ケーブル)の利用が可能です。
JR青梅線:河辺駅、東青梅駅、二俣尾駅、青梅駅、御嶽駅、石神前駅、軍畑駅、宮ノ平駅、沢井駅、日向和田駅
御岳登山鉄道御岳山ケーブル:滝本駅、御岳山駅
複数路線が利用できる駅は御座いません。
青梅市の人口推移
少子高齢化、人口減少、空室問題など・・・不動産投資における大きなリスクと考えれます。
そしてこれらのリスクはすべて「人口」に起因する問題と言えるでしょう。
それでは青梅市の人口動向を見ていきましょう。
現在までの人口状況
最近3年間の人口は、2015年:137052人、2016年:136750人、2017年:135986人となっています。
また1990年から2010年までの5年毎の人口推移は下記となります。世帯数の推移とあわせて確認下さい。
人口推移
1990年:120856人
1995年:133854人
2000年:138839人
2005年:139521人
2010年:138162人
1世帯あたりの人員
1990年:3.21人
1995年:3.03人
2000年:2.87人
2005年:2.71人
2010年:2.65人
2015年:2.23人
青梅市の人口は1970年代から2000年にかけて急増してきましたが、平成17年をピークに減少傾向が続いています。
2017年と1990年の人口を比較する1.5万人(11.1%)程度の増加となっています。
また1世帯あたりの人員は2000年には3人を切り、年々減少を続けています。
次に年齢3区分別人口を見ていきましょう。
年齢3区分別人口※2010年までの5年ごと
年少人口:18.7%→16.6%→15.2%→13.9%→12.9%
生産年齢人口:70.5%→70.6%→69.3%→67.2%→63.9%
老齢人口:10.8%→12.8%→15.5%→18.9%→23.2%
2000年には老年人口と年少人口の割合は逆転し、生産年齢人口と年少人口は減少、老年人口は増加の傾向が続いています。
次に地域別の人口推移をみていきましょう。
地域別人口※2010年までの5年ごと
中央部(青梅・長淵・東青梅・河辺地区):68,722人→68,252人→66,808人→64,501人
東部(大門・新町・今井地区):48,176人→50,096人→51,059人→51,874人
北部(小曾木・成木地区):7,796人→7,413人→6,819人→6,199人
西部(梅郷・沢井地区):15,237人→15,078人→15,026人→14,477人
東部以外の地域は減少していることがわかります。
今後人口推計
では今後の人口推移はどうでしょうか。
下記は国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)による2020年~2040年までの青梅市の人口将来推計と年齢3区分別人口(割合)となります。
社人研による将来人口推計※2020年~40年の5年毎
2020年:130320人
2025年:124550人
2030年:118089人
2035年:111173人
2040年:104094人
年齢3区分別人口※2020年~40年の5年毎
年少人口:10.7%→9.9%→9.3%→9.0%→9.0%
生産年齢人口:58.6%→57.7%→56.2%→53.9%→50.7%
老齢人口:30.7%→32.4%→34.6%→37.1%→40.3%
すでに減少傾向にある青梅市の人口は、今後もこの傾向が続く予測となっています。2020年と2040年の人口を比較すると2.6万人(20.1%)程度と大きく減少する見込みとなっています。
また年齢3区分別人口をみても2040年には5人に2人が65才以上となり、さらに少子高齢化が進むことが予測されています。
次に青梅市の人口の将来展望を見ていきましょう。
青梅市の人口の将来展望※2020年~40年の5年毎
2020年:134,273人
2025年:131,052人
2030年:127,449人
2035年:123,077人
2040年:118,282 人
年齢3区分別人口※2020年~40年の5年毎
年少人口:11.0%→10.3%→10.1%→10.0%→10.2%
生産年齢人口:58.7%→56.8%→54.3%→51.4%→47.7%
老齢人口:30.3%→32.9%→35.6%→38.6%→42.1%
青梅市の人口の将来展望では、社人研よりもかなり緩やかで人口が多い推移となっています。
また地域別の将来人口推計(2010~15年の実績平均移動率を基準)は下記となります。
地域別人口※2040年までの5年ごと
中央部(青梅・長淵・東青梅・河辺地区):61,786人→58,546人→54,891人→50,845人→46,563人
東部(大門・新町・今井地区):52,255人→52,220人→51,649人→50,539人→49,012人
北部(小曾木・成木地区):5,666人→5,135人→4,609人→4,062人→3,527人
西部(梅郷・沢井地区):13,845人→13,096人→12,246人→11,306人→10,336人
もっとも減少割合が少ないのは東部地域となります。
なお青梅市では「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定して
・安定した雇用を創出
・移住者の確保
・結婚、出産、子育て世代の支援
・時代に則したまちづくり
を基本的方向に人口対策に取り組みだしているため、今後の動向に注目したいところです。
青梅市で行う不動産投資の将来性
これらのデータを元に青梅市が不動産投資エリアとしては適しているか考察していきましょう。
不動産投資と人口問題
各データをまとめると下記になります。
社人研のデータ:減少傾向にある人口は、今後も減少が続き、2040年には20%以上減少。
青梅市のデータ:緩やかに減少。社人研よりも人口は多い推移。
どちらのデータからも青梅市の人口は、減少が続く予測となっています。さらに年齢3区分別人口より少子高齢化が進行する予測となっています。
またどちらの予測データを優先するかで青梅市が直面する人口問題に関する解釈は変わってくるでしょう。
青梅市の人口の将来展望に近い推移であれば、青梅市が2040年までに深刻な人口問題を迎える可能性は低いと考えられますが、社人研のデータであればその可能性は低いとは言えないでしょう。
ただし1世帯当たりの平均人員は今後も減少傾向にあることは共通の予測で、特に2人以下の高齢者の世帯が増加する予測となります。
青梅市による取り組みがどれだけの成果を出すか、今後の動向に注目してみてはいかがでしょうか。
不動産投資と交通
では青梅市の交通に関してはどうでしょうか?
青梅市はJRの利用で都心へのアクセスは良いと言えるでしょう。
河辺駅から新宿駅まで50分程ですので、通勤や通学に問題はない地域となります。
不動産投資と不動産価格
では不動産価格をみていきましょう。
青梅市の東京都内でのランキングは地価は48位、平均賃料は47位(~49位)となります。
地価と賃料が同ランクとなりますので、バランスが取れている地域と言えます。
また最近3年間の地価の動向は上昇傾向にありますが、地域別の動向では河辺エリアのみが上昇傾向となっています。
青梅市は地価に地域格差があり、河辺駅周辺が特に地価が高い地域となっています。
しかしこのエリアは都心へのアクセスもよく、商業施設と人口が集中していることもあり、安定した賃貸需要が見込めるエリアと言えるでしょう。
利回りよりも安定した稼働を目的とする不動産投資に適したエリアと言えるかもしれません。
青梅市の不動産投資
以上、青梅市の特性、人口、交通、地価について調査してきました。
これらの情報を要約すると青梅市は・・・
- 青梅市の人口はすでに減少傾向にあり、今後も減少する予測。
- 少子高齢化、核家族化により、二人以下の高齢者世帯の増加が見込まれる。
- 河辺駅周辺の地価は高く、地域ごとの格差も大きい。
- 青梅市の地価は緩やかな上昇傾向。
- 空き家率は年々悪化しているため、青梅市による積極的な空き家対策に期待。
- JRの利用で都心へのアクセスはに良い。
- 待機児童対数は高くない数値で横ばいで推移。今後に期待。
- 犯罪発生件数はここ数年低い数値で横ばいの推移。治安は悪くなく、今後に期待。
となります。
着目するポイントや重要視するポイントは人によって異なりますが、青梅市は不動産投資エリアとして面白い地域と言えるのではないでしょうか?
※青梅市、国立社会保障・人口問題研究所、土地代データ、平成25年住宅・土地統計調査を参考に記事を作成しています。