「立川市」は不動産投資に適した地域か?
今回は東京都「立川市」の不動産投資を分析していきたいと思います。
都内での不動産投資をお考えての方は是非お立ち寄りください。
調査内容は立川市の地域情報(空き家・治安・子育て)、将来人口推移、不動産価格の動向(地価・平均家賃)、賃貸需要、交通情報(路線・高速)などとなります。
立川市を投資先として選定する上で参考になる情報が御座いましたらご活用下さい。
では小平市の地域情報から見ていきましょう。
立川市の概要、特性
まずは立川市の簡単なデータから。
東京都内で、立川市の人口は29位、面積は15位となります。(平成27年のデータ)。
空き家率の推移
ではまずはじめに、不動産投資におけるもっとも大きなリスクのひとつである空室リスクに関連する空き家率から見ていきましょう。
小平市の平成25年の空き家率は10.8%で、東京都の11.1%よりも低い数値であることがわかります。(平成25住宅土地統計調査より)
また平成10年からの空き家率の推移は下記の通りです。※平成25年までの5年毎
平成10年:11.7%(8120戸)
平成15年:7.5%(5960戸)
平成20年:10.2%(8780戸)
平成25年:10.8%(9010戸)
平成15年に空き家軒数が減少したことで、空き家率も一気に下がりました。しかしそれ以降は、空き家総数、空き家率ともに年々上昇傾向にあります。
空き家の内訳をみると、賃貸用住宅が最も多く全体の8割近くを占めます。
さらに空き家数推移をみると、平成20年の賃貸用住宅:6,090戸に対して、平成25年の賃貸用住宅:6,980戸と大幅に増加しています。また1/4は昭和55年以前建てられた旧耐震のものとなります。
現在の空き家率から、立川市に大きな問題は見当たりませんが、賃貸用住宅の空き家件数の増加については、行政による今後の対策に着目する必要はあるでしょう。
刑法犯認知件数の推移
不動産投資を行なう上で投資先の治安の良し悪しは、賃貸需要にも影響を与えることが考えられます。
では日野市は安心して暮らせる街であるかどうかの基準となる犯罪件数(刑法犯認知件数)を見ていきましょう。
過去の犯罪件数は下記になります。
平成21年:5043件
平成22年:5247件
平成23年:4612件
平成24年:4017件
平成25年:3596件
平成26年:3248件
年々減少傾向にあることがわかります。
これは立川市が「安全・安心パトロール、あいあいパトロール隊活動、防犯カメラの設置」といった防犯対策に取り組んできた成果と言えるでしょう。
減少実績と立川市による防犯へ の取り組みにより、さらに治安の良い街になることが期待できます。
待機児童数の推移
ファミリー層を視野に入れた不動産投資を行う場合、子どもがいる世帯がメインターゲットになります。
また子育て世帯で仕事との共立を希望する世帯も増加しているため、待機児童対策は注目すべき項目でしょう。
では子育て世帯が住みやすい街であるかのひとつの指針になる待機児童について見ていきましょう。
過去の待機児童数は下記になります。
平成21年度:92人
平成22年度:108人
平成23年度:117人
平成24年度:75人
平成25年度:86人
平成26年度:95人
平成27年度:179人
平成28年度:196人
平成26年度までは100人前後で推移していましたが、平成27年度は179人、平成28年度は196人と倍増となり、28年度はもっとも多い待機児童数となってしまいました。
そのため立川市では待機児童解消対策として、平成29年4月までに3施設の新設、平成28年度中に3施設の増改築を行い、定員の増強に取り組んでいます。今後待機児童数が減少に転じることを期待しましょう。
しかしここ数年の動向からは、子育てがしやすい街と言えないのが現状です。
次に立川市の人口について考察していきましょう。
立川市の人口推移
立川市の人口動向について調査しました。日本人総数の直近5年と過去抜粋データが下記となります。※()は外国人登録者数。
2016年:176233人(3563人)
2015年:175792人(3298人)
2014年:174997人(3197人)
2013年:175113人(3294人)
2012年:175188人
2007年:171325人
2002年:164639人
立川市の人口は戦後からずっと増加を続けてきました。ここ10年はほぼ横ばいに近い数値で推移しています。また2002年と現在の人口を比較すると1.1万の増加(1.07倍程度)が確認できます。
次に生産年齢人口ですが、こちらは2005年をピークに緩やかな減少にて転じています。さらに年少人口は1980年には減少に転じ、現在に至るまでずっと減少を続けています。
これらに反比例する形で老年人口は増加しています。15年毎のデータをみると1985年:11744人→2000年:23603人→2015年:46106人とかなりの勢いで増加していることがわかります。
では今後の人口推移はどうでしょうか。下記は国立社会保障・人口問題研究所による2020年~2040年までの立川市の人口将来推計となります。
2020年:180826人
2025年:177872人
2030年:173451人
2035年:167927人
2040年:161708人
2020年まで緩やかに増加することが予想されますが、以降は減少に転じますが、緩やかに減少する予想となっています。
また2020~2040年の20年間で約1.9万人の人口減少で、2020年と比較して10%程度の減少が予測されます。
また人口と構成比率の推移については、現在の減少傾向が継続することが予想されます。
2040年までの10年毎の推移を見ると、年少人口は2020年:18799人、2030年:15479人、2040年:13355人、生産年齢人口は2020年:112351人、2030年:105979人、2040年:90312人となります。
また老齢人口は2020年:49696人、2030年:51993人、2040年:58041人となり、少子高齢化が進んでいることがわかります。2040年には立川市民の3人に1人が高齢者となることになります。
また立川市の町別の人口推移をみると、「現在より増加」、「現在とほぼ同じ」、「現在より減少」の3つに分類できます。
現在より増加:泉町、緑町
現在とほぼ同じ:西砂町
現在より減少:富士見町、柴崎町、錦町、羽衣町、曙町、高松町、栄町、幸町、若葉町、上砂町
ほとんどんの地域が減少している中、泉町、緑町、西砂町の3エリアは維持または上昇することが予想されています。簡単に各地域の人口動向を確認していましょう。
まず西砂町ですが、2028年にピークを迎え、2043年まで緩やかに減少します。2043年の人口は8446人となり、2016年の8558人とほぼ近い数値と予測されます。
次に泉町は、2034年にピークを迎え、2043年まで緩やかに減少します。2043年の人口は1650人となり、2016年の1523人よりも8%程の程度が予測されています。
最後にに緑町ですが、2043年時点でも増加が継続することが予想されています。2043年の人口は3,660人となり、2016年の2,979人よりも23%程度増加する予測となっています。
このように立川市全体でみる将来人口推移とはまったく異なる動向が予測される地域もあります。人口問題というリスクを回避するためには、市全体だけではなく細分化したエリアデータも確認する必要がありそうです。
また地域格差は見られますが、建物寿命を考慮しても25年以上先の2043年時点で現在の人口を維持している地域であれば、投資エリアとして人口問題のリスクはかなり少ないと言えるのではないでしょうか。
また立川市は「たちかわ創生総合戦略」を策定して「出産・子育て支援」、「若い世代の囲い込み(転出超過対策)」に取り組んでいるため、現在の予測数値よりも改善される可能性あるため、今後の動向に注目したいところです。
立川市の不動産価格
次に立川市の不動産価格の動向について見ていきましょう。
まず立川市の地価は、東京都内21位、全国22位となっています。最も高い坪単価は1993年の約253万円でしたが、2016年現在は62%程度の157万円前後で推移しています。
では最近の地価の変動を見てみましょう。
バブル崩壊後下落が続いた地価も2006年に上昇に転じ、2008年まで3年間は上昇しました。特に2008年(36.%以上)はバブル以降最大の上げ幅となり、そして翌2009年も11%大きく上昇しました。
しかし2009年からは下降に転じ、2012年までは4年間連続の下降となりましたが、2013年から3年間は上昇に転じました。特に2015年は22%以上と大きく上昇しました。2016年は下降に転じましたが、1%未満の小さな動向となっています。
なお立川市の2016年の地価は前年比マイナス約0.9%と現状維持に近い数値の下降でしたが、立川市を14エリアに分割した地域別の2016年データでは、9/14と64%以上のエリアで上昇が見られました。
なお坪単価の最高値は立川北エリアの約506万円(前年比約7.5%UP)、最安値は西武立川エリアの約45万円(前年比1.3%DOWN)となります。その差10倍以上と大きな地域格差が見られます。
しかしこの価格差は立川北、立川南、立川駅エリアが突出してためにおきていて、4番目に地価が高い西国立エアリ(100万円)と比較するとここまでの格差は見られません。
2016年に立川市で10%以上地価が大きく上昇した地域なく、立川北エリアの約7.5%が最高数値、次に立川南エリアの約6%でした。
また下降した地域は高松、柴崎体育館、西立川、西武立川の4エリアとなります。2016年に立川市で地価が大きく下降した地域なく、高松(-6.7%)が最低数値でした。
立川市の平均地価は約157万円となり、最高値と最安値の地域差が461万円程度と格差が大きい地域となります。
しかし前述した通り、立川北、立川南、立川駅エリアを除いた場合の数値は約55万円となるため、一概には価格差が大きい地域とは言えません。
またこの3エリアが突出して高いのにはそれなりの理由が考えられます。このエリアは立川駅周辺に位置し、商業施設も多く、、複数路線の利用も可能な利便性の高いエリアなのです。
では家賃相場はどうなっているでしょうか?
都内31位で地価の22位とかなり開きがあります。ただし地価は立川駅周辺のエリアが大幅に引き上げているため、一概に費用対効果が見込めない地域と判断することできないでしょう。
例えば、立川駅周辺以外の地価の安いエリアに絞って、路線、駅までの距離、築年数、間取りなどを考慮して上で、少ない資金で割安な投資物件を探し出すことも悪くないかもしれません。
反対に立川駅周辺エリアに絞って、資産価値を重視した安定志向の投資を行うのも悪くはないでしょう。
どちらのエリアにしろ、相場以下の投資物件を発掘できれば、高利回りでの運用も現実的なものになるでしょう。
立川市の交通・アクセス
では立川市の電車状況はどうなっているでしょうか?
立川市には12の駅があり、都市部で最大の駅数になります。またJRと私鉄の利用が可能です。
まずはJR。JRは中央線・中央本線、南武線、青梅線の利用が可能です。
停車駅は下記となります。
・中央線・中央本線:立川駅
・南武線:立川駅、西国立駅
・青梅線:立川駅、西立川駅
次に私鉄。私鉄は西武拝島線、多摩モノレールの利用が可能です。
停車駅は下記となります。
・西武拝島線:西武立川駅、武蔵砂川駅
・多摩モノレール:立飛駅、立川北駅、砂川七番駅、立川南駅、高松駅、柴崎体育館駅、泉体育館駅
複数路線が利用できる駅は、立川駅となります。
立川市で行う不動産投資の将来性
これらのデータを元に立川市は不動産投資エリアとしては適しているのか考察してみましょう。
まず人口から。
国立社会保障・人口問題研究所のデータによれば、立川市の人口は2020年には減少に転じることが予測されます。また生産年齢人口、年少人口も同様の動向が予想されています。
つまり立川市も例外にもれず少子高齢化が進むことになります。
しかし地域別にみると、2040年時点で現在と同じ数値を維持している西砂町、さらには現在以上に増加している泉町、緑町があることがわかります。
立川市全体のデータでは減少という数値しかわかりませんが、地域別のデータを調査することで、将来的に人口問題が少ないエリアを発見することもできますので、人口減少リスクを回避することに役立つのではないでしょうか?
では交通に関してはどうでしょうか?
立川市にJR、私鉄の利用が可能な利便性の高い地域と言えます。また人気路線であるJR中央線の利用で新宿、東京など都心へのアクセスが良いのが特徴です。
特に複数路線が利用できる立川駅周辺は、非常に利便性の高いエリアと言えます。
では不動産価格をみていきましょう。
立川市の東京都内でのランキングは地価は21位、平均賃料は31位となります。
立川市の地価の特徴として、突出した3エリアを除けば地域による格差は小さいことがあげられます。
また突出した3エリアは立川駅周にあり、JR、多摩モノレールが利用でき、商業施設も多く、人の集まるエリアのため地価が高くなっています。
また立川市による「賃貸住宅の状況」調査では、平均賃料は平成20年の73,317円から平成25年の67,263円と1割近く下降している結果が出ています。
また立川市が事業者に行なった「民間賃貸住宅の動向」の調査では、「少子化による学生の賃貸需要低下、専有面積の拡大化、空き家率に変化は見られない」といった回答が見られました。
さらに空き家になることが懸念される老朽化した物件は、生活保護世帯、収入の少ない高齢者層の入居により空き家になっていない現状が報告されています。
以上、立川市の特性、人口、交通、地価について調査してきました。
これらの情報を総合的に判断すると、立川市の特徴として「25年後も人口増加地域がある」「地価に地域格差なし」「立川駅周辺の利便性の高さ」「治安は悪くない」があげられます。
これらの点に着目して投資物件を選定すれば、立川市は投資エリアとして面白い地域と言えるのではないでしょうか?
※立川市、国立社会保障・人口問題研究所、土地代データ、平成25年住宅・土地統計調査を参考に記事を作成しています。